今日の日経新聞の朝刊を見て思ったのは、宮仕えは辛いというかリスクだらけだなと。一面のど真ん中に「株運用 8月にも方針」、「公的年金 20%「高すぎない」」と見出しが躍っていた。
要するに年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の株式運用に関して、国内株式での運用比率を上昇させるとの観測記事である。最近の日経新聞は何かにつけてGPIFが日本株の運用比率を上げる(だから株価が上がるのでは)と書いている。聞くところによると、市場関係者もGPIFに期待しているようだ。
今日の記事の主役は米澤康博氏であり、彼に対するインタビュー構成である。詳細がヴェリタスに掲載されていたそうだが、それを自分で買ったことがないから知らなかった。
それはともかく、インタビューの抄録が4面にある。それを読んで思うのは、一面の見出しが煽りすぎということである。米澤氏をよく知っているので、ネットで最初に見出しを見たとき、「れれっ」と思ったところ、案の定、書きすぎである。また、これまでいろんな知り合いから得ていた情報とも乖離がありすぎた。繰り返しになるが、今日の一面は書きすぎである。
とはいえ、米澤氏のスタンスも変化しているように思った。一番意外だったのは「今の(日本の)株価は割安で、もっと上がってしかるべき」という発言である。本当にそう言ったのかどうか疑問が残るものの(知り合いは懐疑的だった)、日経のインタビュー記事はさすが一流紙で、そんなにねじ曲げた書き方はしないというのが僕自身の経験である。とすれば、米澤氏がそれに近いことを喋ったのだろう。一方、そう発言したとすれば、あまりにも楽観的な株価見通しだと思ってしまう。これも知り合いからの情報に基づくが、米澤氏がGPIFの運用委員会(という名前だったかな)の委員長になって以降、さまざまな圧力があるようだ。とりあえず、その圧力が功を奏しているのかもしれない。
もう1つ思うのは、投資家の間で「株価の需給が株価水準を決める」との信者が多いことである。政治家は(公式見解だけかもしれないが)ほぼ全員が信者である。僕はそんなアホな宗教の信者ではない。株価を決めるのは、長期的には企業業績である。需給だけで株価が決まれば、それは株価を歪めたことになり、その後が大事になる。日本のバブル、リーマンショックの前夜などを覚えていれば、需給相場が株価を大病に導くことは明々白々だと思うのだが。それでも「株価の需給が株価水準を決める」と信じているのなら、パプロフの犬に笑われるかも。
昼飯を食べながら、ある知り合いと以上のような話しをしていた。結論は、申し訳ないながら、「米澤氏も辛いよね」だった。
2014/06/03