川北英隆のブログ

中小市場再生ファンドの感覚

ジェイ・ウィル・パートナーズの佐藤社長に講義をお願いした。どんな企業なのか。知る人ぞ知るだが、一口で言うと、地方を中心とした・中堅・中小企業の・再生・成長に投資するファンド運営企業だ。
確認しなかった(残念ながら講義の後の昼食会に出られなかった)ものの、資料として配付された投資事例を見るかぎり、病院、シニア住宅などの住宅関連、ヘルスケア施設、観光バス、地銀、小売、食品など、安定したキャッシュフローの得られる業態を主要な対象にしているようだ。再生を試みた場合に成功確率が高いのだろう。
ジェイ・ウィル・パートナーズの理念は、国内に余るほどある資金の円滑な循環である。学生が、「参入障壁はどこにあるのか」と質問したところ、「競合相手はあまりいない」、「外資系のファンドにとって手間暇がかかりすぎるのかも」との返答があった。外資はコスト高だから参入しない。国内資本は参入してこないか、参入してきたとしても最初のコンセプトにおいて当社に勝てないのかもしれない。
実のところ、かつて、コンサル大手のM社に勤務していたY氏がジェイ・ウィル・パートナーズのトップに着いていた。それで、以前から名前だけはよく知っていた。講義の前にY氏の話になり、佐藤社長から鋭い質問を受けた。「M社の評価は」というものだった。かつてコンサルを受ける側にいたから、どう答えようかと「うーん」と言いながら考えていると、「あまり役立たなかったのでは」との駄目押しの質問がきた。その直後に応えたのは、「(M社の)プレゼン資料はこちらが描いたものをベースにしていた(値打ちがあまりなかった)」、「一方、ネットワークはすごいと感じた」というものだった。納得してもらったと思うし、事実からそんなに乖離した答えでなかっただろう。
もう1つ、今の大学生にとって記憶にあるのは1990年代の後半以降だろうと雑談していた。現在の大学1年生は1995年頃の生まれである。とすれば、僕が生まれたのは1950年だから、僕にとっての戦中と、現在の大学1年生にとっての日本のバブルの時代は、年月の面で、同じ位置関係でしかない。大学生にとって「バブルの時代の景気の良さはすごかった」と言われるのは、我々の世代にとって「戦争はひどいものだった」と言われるのと同じということ。もはや実感の湧かない話しということ。このことをしっかりと意識し、今の大学生と接しなければならない。
以上、いろいろと考えさせられる講義だった。

2014/06/12


トップへ戻る