先週のニュースだったと思う。日経の海外ニュース面の小さなコラムに「新運河、20年開通めざす」とあった。以前にニカラグア運河の構想について書いたから、この小さな記事が目に止まった。
ニカラグアに運河を建設するのは香港の会社(中国企業の子会社、中国HKND社)とのこと。運河の長さ286km、工事費400億ドル、2020年の開通(船が通れるようになる)、24年に工事完成とある。港湾や空港も新たにできるらしい。中国に100年間(新聞には50年間とあり、どちらが正しいのか不明)の運営権を与えるらしい。ニュースソースはシンガポール華字紙・聯合早報(5/16)だそうだ。
現在、パナマ運河は拡張工事中であり、ニカラグア運河が完成すれば競合するだろう。どちらが便利なのか、客観的評価は不明である(ニカラグア運河の方が深く、幅も広いと書いてある)。ニカラグア運河の弱点は距離の長さと、運河周辺にある活発な複数の火山だろう。かつてからニカラグア運河の計画があったものの、それが頓挫していた最大の理由はこの火山だったという。
以前にも書いたように、ニカラグアはアメリカを敵視している。このため、中国に運河の権利を与えたのだろう。背後にロシアもいるとのこと。もちろん、運河事業が成功すれば、経済的に豊かでない(大した資源のない)ニカラグアが豊かな国になる。とはいえニカラグアには400億ドルの資金も運河掘削技術もない。このためアメリカの敵でもある中国およびロシアと組んだのは明らかである。
いずれにせよ、この地域に中国、ロシアの力が及べば、アメリカとの力関係に変化が生じる。この意味でもニカラグア運河は注目に値する。
2014/06/15