今年3月末(昨年度末)現在の日本の株主が公表された。先週木曜日(6/19)に示された「株式分布状況調査(速報版)」がそれである。毎年、東証が中心となって公表されている。
昨年度の最大の特徴は、海外投資家(外国法人等)が全時価総額(445.4兆円)の30.8%の保有に達したことである。その1年前が28.0%だったから、昨年度の上げ相場で保有比率を一段と高めたことになる。
海外投資家に次ぐ保有比率は、事業法人21.3%(前年度は21.7%)、個人18.7%(同20.2%)である。両者とも比率を下げている。その他の国内投資家も、都銀・地銀等3.6%(同3.8%)、年金信託2.1%(同2.5%)、生命保険3.7%(同4.1%)、損害保険1.4%(同1.6%)と、軒並み比率を下げている。投資家の中で唯一に近く保有比率を上げているのが投資信託の4.8%(同4.5%)である。
確認しておくと、海外投資家は日本の株価形成を主導している。
分析すれば、海外投資家は株価に対して順張りの投資を行っている(株価が上がれば買い、下がれば売る)ように見える。実際は、海外投資家が買うから株価が上がり、売るから下がる可能性が高いのだろう。これに対し、個人投資家は逆張りである。この1年間もこの傾向が強かった。一方、銀行や保険会社は株式の保有を減らす傾向にある。昨年度、株価が上がったことを幸いに、売却を進めたのだろう。また、年金はポートフォリオの基準値を持っているから、もしも株価が大幅に上がり、自分のファンド総額に占める株式の保有比率がその基準を大きく上回るようになると、株式を売却することになる。昨年度の年金の売却は、これに基づく行動だったと考えられる。
少し奇異なのは投資信託である。投資信託は個人が買うもの。その個人は株式を売っているのに、投資信託は株式を買っている。この点について、東証の発表も混乱しているようで、「先高期待を背景に個人投資家等の投資意欲の強まりなどから」投資信託が株式を買ったと説明している。それなら、個人投資家そのものの「先高期待」はどうしたのかと問いたい。多分、証券会社の営業姿勢が高まったことから、投資信託の株式保有比率が上昇したのだろう。
昨年度の株式保有状況調査から推論するかぎり、海外投資家の影響力は増すばかりである。これに対して国内投資家はますます受動的である。海外投資家が動いて初めて行動を起こす。
公的年金に対する政治の介入は好ましくない。政治家が動くと相場が歪む。しかし、国内投資家の意思のなさ、自己主張のなさを改めて確認させられると、誰かが「動けや」と鞭打つのも仕方ないように思えてしまう。一種の悪夢かな。
2014/06/22