財務省が公表した7月の貿易統計によると、輸出入の差額(季節的な増減を除去した数値)は前月の1.07注円の輸入超過からほんの少しだけ改善し、1.02兆円の輸入超過となった。
輸入超過額は消費税の影響から、3月から4月前後にかけて大きく変動したが、ここにきて1兆円程度の輸入超過でようやく安定したように見える。去年の今頃、多くのエコノミストが「円安によっていずれ輸出が回復する」と予想していたが、彼らの最近の反省にあるように、輸出の回復は見込めないようだ。
輸出数量はこの1年間、横ばいを続けている。輸出価格が心持ち上がり気味なので、輸出額はプラスを続けている。品目で見ると、工作機械が前年比2桁の増加を続けている。また、少し前の日経にあったように、意外にも食料品が前年比1割程度の増加である。もっとも食料品の輸出額は月400億円弱と大したことがない。その他の品目は乗用車が少し増えている程度であり、片や電子部品がマイナスを続けているなど、冴えない。
輸入は、数量はわずかに増え気味なものの、価格(鉄鉱石や石炭が典型的)が全体としてわずかながら低下傾向にある。このため輸入額は減少気味である。
以上の輸出入の動きの結果、輸入超過額は1兆円程度になっている。消費税の影響のなかった昨年の秋と比べれば、輸入超過額の縮小が多少見られるわけだ。
2014/08/20