月末にはいろんな経済指標が出揃う。その中で衝撃だったのが鉱工業生産である。ほんの少し生産はプラスになると市場が予想していたのに、実態は1.5%と大幅なマイナスだった。
鉱工業生産の対象の中で非耐久消費財(衣料や食品)のウェイトは大きくないから、天候不順のせいにはできない。アベノミクスの少し前から続いていた景気回復の基調が、消費税引き上げ以降、変化しているのかもしれない。これは、円安にもかかわらず日本からの輸出量が増えないことと関係しているように思えてならない。
何回か書いた京都企業の分析でいえば、先端的な企業は海外に生産拠点を大きくシフトさせている。この結果、企業としての生産設備資産の半分近く、もしくは半分以上が海外に移っている。この現実をもっと直視すべきだろう。
もう1点、円安にもかかわらず、国内企業の生み出す売上高当たりの付加価値(営業利益、人件費、減価償却費の合計)の率は上昇していない(図は大企業の売上高付加価値率の推移)。円安はせいぜいのところ、これまでの付加価値率の低下を食い止めている程度である。これでは、安倍ちゃんがいくら「賃上げを」と叫んでも、企業として大盤振る舞いする余地に乏しい。とすれば、増税は家計の重石となる。
2014/09/30