昨日の日経には、公的年金(GPIF)が日本株の保有比率を上げるとの観測記事があった。「だから株価は上がる」との言いたげでもあった。本当に日本株は上がるのか。むしろ売りチャンス到来のような。
GPIFが、日経の観測記事にあるように日本株の保有比率を20%台半ばに上げるのかどうか、今のところ確たる情報は何もない。上げることは確かなのだろうが、20%程度までならともかく、それを20%台半ばにまで上げる理屈をどう作り上げるのだろうか。これまでの理屈を棚上げにするような非常に悪い予感さえする。
それはともかく、日経は「8兆円の株買いが発生する」と書いている。「これだけ買うのだから、株価が上がらないはずがない」と言いたげである。日経は株式新聞ではないのだから、さすがにそこまでは書いていないが。
しかし、株価が需給だけで上がれば、それはバブルでしかない。株価を企業業績が裏打ちしないことには、世界との比較において日本株が割高になり、海外投資家にとっての売り標的になりかねない。その海外投資家は日本株の約3割、120兆円を保有している。その6、7%が売りに出ただけで、日経の言う「8兆円の株買い」がチャラになる。
どうせGPIFはインデックス採用銘柄をまんべんなく買うだろうから、「悪かろう、高かろう」の銘柄が必ず出てくる。市場全体に業績の裏付けがなければなおさらである。その時には、海外投資家に負けることなく「ダメ企業の売り」に転じることが良策だと考える。
2014/10/19