新幹線で京都と東京を往復する時、楽しみの1つが伊吹山である。もう1つは御岳から北アルプス、そして南アルプスだろう。ほぼ毎週ほど乗っていると、季節の移り変わりが明確である。
「何か抜けてるやろ、富士山が」というところだが、その富士山は偉大なる平凡である。注目して見ても普段は仕方ないと思っている。均整がとれていて、面白味がないような。もっとも、見る側が凡人だからかもしれないが。
そんな今日、名古屋を出発後、少しして気になったことがある。普段見慣れている関ヶ原付近の色合いがどうも違う。関が原を囲む山は緑が濃いのに、その上に白味がかったピークが見えたからである。
それは伊吹山だった。5月頃、鮮やかな草色をしていたのに、今日は薄い茶色から少し白い感じに輝いている。山頂をとりまく草木の紅葉が始まったのだろう。純白の雪が山頂を覆う日も、すぐそこに迫っていそうだ。
何回か書いたように、滋賀から京都の北部は日本海側の気象の影響を強く受ける。伊吹山もその1つ。比良近辺の山も同じである。11月末に比良に登ると、冬型の天候に見舞われやすい。学生のとき、そんな初冬の比良を歩き、寒さに震えたこともあれば、もう少し早い時期に芝栗をたくさん拾ったこともあった。当時と今を比べるのは難しいものの、かつての比良は湖西線が開通しておらず、遠く不便だった。そんな比良に引き込まれたものだ。
「よし、今年は初冬の比良周辺を歩こう」と思う。気合を入れないと、毎年そうだが、結局は幻で終わるから。
2014/10/25