11月の貿易統計の分析結果を簡単にメモしておく。輸出数量が底を打ち、わずかではあるが回復している。輸入は、原油価格の下落が効いている。このため、輸入超過額は縮小気味である。
季節的な傾向を調整すると、輸入超過額は10月に比べて縮小した。10月が9850億円、11月は9250億円である。明らかに縮小したとはいえないものの、赤字幅の拡大が止まったことだけは確かだろう。
この要因は、1つに輸出数量がとりあえずの底を打ったことである。地域別にみると、アメリカ、アジアともに底入れしている。ただし、水準的には低い。
もう1つは輸入価格の低下である。円安もあり、平均的な輸入価格(円ベース)は上昇しているものの、それよりも輸出価格の上昇率の方が大きくなった。輸入を製品別に見ると、やはり原油価格の低下が目立つ。このため、11月の原油輸入額は前年比2桁のマイナスになっている。
輸出入の総額には当面のところ大きな影響を与えていないが、注目すべきことがある。それは、機械類の輸入が大きな影響を持ち始めたことである。現在、鉱物性燃料の輸入総額と機械類の輸入総額とはほとんど同じになった。
中でも電気機器の輸入総額は1兆円を超えてきた。この額はほぼ輸出額と同じである。これまでの常識、日本がテレビやステレオを初めとする電気製品の輸出大国だった記憶からすると、重要な変化が起きていると認識せざるを得ない。この現状を真摯に分析することから、今後の日本経済に関する考察を開始する必要性が高いだろう。
2014/12/18