今日は日経新聞に先を越された。朝刊1面のトップ記事である。記事にはグラフがあり、その実質実効為替レートの推移が重要である。その数値が変動相場以降以来の最低水準に接近している。
実質実効為替レートとは何か。
主要国との貿易額でウェイト付けして計算した為替レートとして、まず実効為替レートがある。日本の貿易相手国がアメリカだけなら日本にとっての為替レートは円ドルレート(1円が何ドルか)でいいが、ユーロ圏や中国との貿易があると、ユーロや元も、その貿易の重要度に応じて勘案しないと円の実力が示せない。そこで、現実の実効為替レートが計算される。
次に、実質実効為替レートとは、実効為替レートに、主要な貿易相手国と日本との物価水準の比較を加えたものである。ある時、1ドル100円であり、チョコレート1つがアメリカで1ドル、日本で100円だったとする。1年後も1ドル100円であったが、チョコレート1つがアメリカで2ドル、日本で100円になっていたとすれば、100円を1ドルに換え、アメリカでチョコレートを買おうとすると1/2しか買えない。表面的なドル円為替レートは変化していないものの、実質的な円の値打ちが1/2になったのと等しい。このように物価水準の比較を行い、実質的な通貨の値打ちを計算したのが実質実効為替レートである。
記事にある実質実効為替レートについて、日銀のホームページからグラフとデータを得ることができる。ただし、現在は10月までの数字である。
為替レートが変動性に移行したのは1973年2月である。実質実効為替レートがその当時の水準を下回ろうとしているのは何をもたらすのか。海外に旅行すればわかるように、円の使い出がなくなっていることに象徴的である。
僕には海外でチョコレートを食べる趣味はないが、飲み食いする趣味はある。11月のロンドンとバミューダでハブに入ったところ、食べ物1皿(大きいが、しかし美味くない1皿)とビールを3杯くらい飲んだ所、軽く5000円/人してしまった。バミューダでイセエビを勧められ食べた時には(日本の3倍はありそうな大きさだったが)、カードの請求書によると9000円/人した。ロンドンで昼に食べた舌平目は(美味かったが)、ワインも1本飲んだので、15000円/人はしただろう。こうなると日本の高級割烹並である。
まだまだタイに行けば円の使い出はあるのだろうと思うが、為替レートをみると、タイバーツは2年半前に行った頃より40%程度高いように感じる(正確な為替レートを覚えていないので、ネットで調べたところ、ほぼ正確な記憶だった)。使い出が大きく減じている。次に行けばびっくり仰天するだろう。
いずれにしても、円安を喜んでいられないし、度の過ぎる円安政策は歓迎できないのである。
2014/12/07