川北英隆のブログ

国際収支統計2014年12月

昨年12月の国際収支統計が公表されたので、少しコメントしておく。同じ12月の貿易収支統計に対し、忙しかったことから、コメントできなかったことの代わりでもある。
国際収支統計によると、12月の貿易収支(季節性を調整した値)は3183億円の赤字である。最近、この赤字幅は急速に縮小している。もっとも、貿易統計の輸出入の差額で見るかぎり、ここまで縮小していないから、国際収支統計では季節性をうまく修正できていない可能性がある。
とはいえ、貿易によって生じる赤字が縮小していることは紛れもない事実である。貿易統計によっても、円安によって輸出価格が上昇する一方、輸入価格は原油価格の下落を受けてほとんど上昇していない。このため、輸出入の差額(赤字)は明らかに縮小している。問題は、輸出数量の増加があまり見られないことである。このため、原油価格が上昇に転じれば、再び輸出入差額(赤字)が拡大しかねない。
国際収支統計に戻ると、貿易収支以外にサービス収支や所得収支の影響を受けるため、貿易収支の赤字縮小がそのまま経常収支の黒字拡大に結びつくわけではないものの、10月以降の3ヵ月間、月ベースで9000億円台(季節性を調整した値)の黒字が続いている。この黒字額は2011年頃よりも多い。また、以前から指摘している直接投資による資金流出を何とか賄える(相殺できる)規模にまで回復してきた。
今後に関して、輸出量が増えるのかどうか、輸入価格を大きく左右する原油価格の足元での反騰がどこまで続くのか、そして海外直接投資が一服するのか、これらに注目していきたいものだ。

2015/02/09


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