しばらく前の話になるが、友人のU君との飲み会が東京であり、僕が場所を予約した。といっても、知人から紹介された店で、僕としても初めてだった。その飲み会で失態をしてしまった。
予約した場所の地図をプリントアウトしようと思いながら、忘れてしまった。しかし、飲み屋の名前はすぐに思い出せる。「その名前があったら場所なんて簡単にわかるやん」と思った。グーグルマップと位置情報を使い、最近の若手みたいにウォーキングナビと洒落こめばいいわけだ。以前、下関の北の山から地図なしで下りて、最寄り駅を探したのと同じ要領だとも思った。
実は、それが大きな間違いだった。そもそも、飲み屋のある付近を歩いたことがなかったから、完全に地理不案内である。それに加え、その時に知ったが、位置情報には微妙な(東京の街中であれば、1本筋が違う程度の)誤差がある。だから、ウォーキングナビに頼ったものの、一向に目的の店に着かない。そこで、近くにまで来てることだけは確かなので、丁目と番地を頼りに、建物に付けられた(しかし、日本の場合すごく不揃いな)住所表示から探したところ、1分程度で見つかった。でも、5分は遅れたと記憶している。
そこで、スマホをずっと見ながら歩いている輩は何をしてるのかと、ますます疑った次第である。地図を見て歩いているわけではない(いつもそうだとすれば、アホでしかない)。
ではメールを見ているのか。そうなら、これもまたアホである。「そんなん、受信と返信の多少の時間差なんてどうでもいい」と思う。メールに即時に返事するよりも、もっと重要なことがある。それは、他人の迷惑にならないよう、とっとと歩くことだ。
日本電産の入社試験に早飯競争があったと聞いた。真実かどうかは聞いていない。でも、それを競争させるのはいいことだと思う。すばやく仕事をこなすのも、重要な能力の1つ。それだけで人間の能力のすべてを判定できないとは思うが、目の前の目標に集中して行動できるかできないか、これが人間の値打ちを決める。
メールをしながら歩くのが効率的と思うのは浅はかである。すばやく目的地まで歩き、そこで集中してメールをこなす。それが一番効率的である。今しかやってないテレビを見ながら飯を食うのとは、大分事情が異なる(子供の頃、やっていたので)。
2015/02/16