新聞で報じられているように、大塚家具の創業者とその長女との間で経営方針を巡る意見の大きな差異がある。結局、3月27日に開催される株主総会での委任状の争奪戦が行われているらしい。
大塚家具は、僕の元いた会社が大株主である。株式投資のアナリストをやっていた頃、創業者が時々株式部を訪ねてきていた。僕自身は担当者ではなかったので会ったことがないものの、応接室に入る姿を何回か見た。当時の業績は良かったと思う(いずれ確認したい)。とくにか当時は日本経済が成熟段階に向かっており、住宅の新築戸数も多く、高級志向が強かった時代だから、大塚家具の高級品も売れたのだと思う。
実は、大塚家具で買い物をしたことがある。どんな家具屋か知らなかったし、なかなか良いものが置いてあるとの印象だけが残っていた。そこで、会社を辞めた後、京都に転居してリビングの調度を整える必要から、大阪の大塚家具を訪ねた。「普通の家具屋やろ」と思い、軽い気持ちで行った次第だが、これが間違いだった。店員が付きっきりで売り場を案内する。「勝手に見させろや」と思うのだが、そうはいかない。
結局のところ、「どうせ、どっかで買うのだから」と、ソファーと小物を何点か買った。高いのを買ったわけでないので、評価するには気が引けるが、品質が格段に良いわけでない。家内なんか、「このソファー、もうほろか」とも言っている。
思うに、あの付きっきり商法は過去の遺物、完全に古びている。創業者の経営は間違っていると言わざるをえない。長女の経営手腕がどの程度かは知らないものの、創業者の経営を変えないといけないとの判断は正しい。
大塚家具の混乱を見るにつけ、多くの場合に過去の成功体験が大きな足かせになること、それを転換するには大きな抵抗があること、こうして何割かの企業が沈んでいくこと等、思いは複雑である。
2015/02/26