シャープが大苦戦している。どう見ても、液晶という過去の成功体験にとらわれ過ぎのように思う。液晶以外に何があるのかは知らないものの、次のものがないとすれば、過剰な過去依存でしかない。
このシャープを象徴しているのが、吉永小百合を使ったコマーシャルである。それも、いつからか忘れるくらい、延々と続いている。「もういい加減ええやろ」と思う。女性の目からすると「アホやろ」とも写るらしい。
僕は吉永小百合ファンの世代よりも少し後かもしれない。そんなに興味がないので、吉永小百合が人気絶頂だったのはいつなのか忘れている。とはいえ、かつては吉永小百合なら製品は売れるだろうと思っていた。しかし今となっては、「まだ使うのか」というのが正直なところだ。コマーシャルに出る方もどうかしている、かえって人気を落とすと思うのだが。それはともあれ、そんなコストをかけて液晶テレビを宣伝する値打ちがあるのだろうか。
企業訪問すると、各社とも、社風が端々に垣間見られる。最近の日本企業は丁寧過ぎる。言い換えればおとなしい。そんな丁寧に行動する暇があるのなら、「がんがん働いたれや」と思うのだが。こんな感想は横道である。
要はコマーシャルから、社風というか、企業の目線を端的に察知できる。
シャープの場合で言えば、高級液晶といえどもどうせテレビ、かつて大人気だった女優をわざわざ登場させる値打ちがあるのかと思ってしまう。10年少し前までシャープの液晶テレビにはプレミアムが付いていた。現在、テレビは単なる消耗品でしかなく、誰も好んでシャープを指名しないだろう。そんな消耗品に年老いたかつての人気女優を使うのは、二重の意味でノスタルジー以外の何物でもない。
2015/03/09