川北英隆のブログ

天皇、パラオを慰霊する

このニュースに賛意を表したい。パラオのペリリュー島とは、知らない。激戦地だと報道で聞いただけである。その地での戦争を回避できなかった元首の子孫としての天皇訪問は、最大の反省でもある。
父親は戦争を憎んでいた。子供の頃に見聞きしたことからすると、一応将校の端くれだったらしいので、楽しんだ部分もあるとは思うが、「戦争がなければ、もっと素晴らしい未来が開けていたはず」との切実な思いがあったのも確かな事実である。
戦争を直接決断してはいないものの、その子孫としての今の天皇が激戦地を慰霊している。日本人兵士に対する直接的な謝罪だと思っていたい。同時に、戦死したアメリカ兵への謝罪でもあるのだろう。
理由はともあれ、戦争ほどつまらないものはない。思うに、究極の戦争の理由を突き詰めれば、多くはその時の政権トップの自己顕示欲や保身ではないかと思う。そんなトップの個人的な理由のため、多くの、何の関係もない国民を巻き添えにしてしまう。
それではと、戦争の主要な相手方を見ても、勝てば官軍であるものの、やはり列強国の多くは保身のために敵国を作り、その敵国に圧力をかけたのだろう。もちろん、そんな強国同士の争いに意図せずして巻き込まれた多くの国がある。その国にとっては本当に迷惑千万、怒り狂って当然だっただろう。
元に戻り、今回の天皇のパラオ訪問について、激戦地はパラオだけに限らないと言っておきたい。父親が駆り出されたインパールも激戦地だった。パプアニューギニア(とくにラバウル)もそうだったと聞いている。訪問しやすい地だけをリストアップし、天皇に選んでもらい、訪問してもらうのは正しくない。「こんな激戦地があった」と、すべてを報告し、訪問してもらう、もしくは訪問実現のための努力をすべきではないのか。
とはあれ繰り返しだが、パラオという、観光ではなかなか行かない地への慰霊は評価に値する。

2015/04/09


トップへ戻る