結論は良くないようだ。1994年にオーストラリアの援助でメコンに友好橋が架けられたことが象徴するように、「友好」を謳う必要がある。ラオスの主要族はタイ人と近いから、近親憎悪である。
農業に適したメコン流域の平地部分をタイと争ってきたからだろう。しかも、タイの至宝として王宮内のワット・プラーケオに安置されているエメラルド仏(ヒスイ製)はもともとビエンチャンのワット・ホーパケオに安置されていたのだが、それをタイが奪ったとされている。
ベトナム戦争において、ラオスも内部分裂しており、ベトナム戦争と表裏一体だった。南北に長いベトナムに物資を輸送する上でも、北部ベトナムと国境を接するラオスが重要だった。ベトナム戦争で北ベトナム側が戦争に勝利すると、ラオスも北ベトナムに協力的だった勢力が政治的に優位に立った。その後もラオスでは内戦が続き、結果としてアメリカとアメリカの支援する勢力がベトナムと同様に敗れた。
これらの経緯から、現在のラオスはベトナムと友好的関係にある。とはいえ、アメリカに勝利したベトナムもラオスもともに経済的に行き詰まってしまった。このため、東南アジアの中で相対的に経済発展したタイを無視するわけにはいかず、またベトナム、ラオス、タイを陸路で結ぶことの重要性が増すにつれ、3国の関係は改善されているようだし、改善への努力が先進国によっても進められている。とはいえ、内心ではどうなのか。
ラオスは小国であり、日本人として忘れがちである。しかし、ラオスは地政学的に重要な位置を占めている。だから、中国も昆明からラオスに迫ろうとしている。それだけに目を話せない国だろう。
2015/05/10