昨日、大阪都の賛否を問う住民投票が行われ、僅差で否決された。この結果を素直に喜んでいる。橋下はんだけは非常に悔しいだろうが、大阪市民、府民にとっては恥をかかなくて良かったと思う。
橋下的手法の特徴は「目立つこと」「意表を突くこと」だと推察している。沈滞している大阪に対して、「都になって東京と肩を並べたらどうや」と提案したわけだから、それに「我が意を得たり」と思った者が多かった。本当の意味で、大阪が東京をもう一度肩を並べられるのであれば、もちろん大賛成である。しかし、今回の大阪都構想に、どの程度の具体策が盛り込まれていたのだろうか。
聞こえてくるのは、大阪市と大阪府の二重行政がもたらす無駄な予算(支出)の削減である。このことと、大阪都構想とが直接関係するのだろうか。無駄の削減が目的であるのなら、むりやり大阪都にする必要はない。現在、市長と知事が懇意なのだから、一緒になって無駄を見つけ、切り捨てていけばいいだけではないのか。大阪都構想による無駄の削減と言われた瞬間に、「羊頭狗肉やな」としか思えなかった。
本当の大阪都を目指すのであれば、大阪圏にいかにして産業を呼び寄せ、発展させるのかを構想しなければならない。大阪市の中心部に高層マンションがいくつも建つ現状とは、大阪の都心部に生産能力、経済力がなくなった証拠である。そんな寂しい状態をほったらかしにして、看板だけを「都」にすげ替えようなんて、変そのものである。極端に言えば、砂漠の村落の入口に「都」との看板を掲げるようなものである。それとも、桜蘭の都よろしく、遺跡としての「都」を目指したのだろうか。
2015/05/18