海外旅行中、もう1つの嵐が吹き荒れていた。東京電力の株が出来高を伴って急上昇したことである。実のところ、5月中旬から上昇していた。そんな株に関心ないので、見逃していただけである。
東電株の出来高急増は5/21である。一方、日経平均が再度2万円を超えたのが5/19である。これらの事実は、日経のネット版が提供する「スマートチャート」ですぐに確認できる。さすが日経というところだろう(たまには絶賛しておかないと)。
この東電と日経平均との関係は何を物語っているのか(それとも無関係なのか)。これまでの経験からすると、次のように解釈できる。つまり、どうしようもないボロ株に光が当たり、株価が跳ね上がるのは相場上昇期の末期的な現象であることが多い。
東電の場合、原発の事故処理が遅々として進んでいない。政府によって人工呼吸器を付けてもらい、ようやく生きている状態である。関東地区が日本の中で唯一、電力需要の伸びの見込める地域とはいえ、その需要を見越して新規参入が続出している。経営環境が急速に好転しているとは到底言えない。
また、市場は政府の原発の再稼働方針を囃しているようだが、そんな政府の方針はとうの昔から明らかである。たとえ原発が再稼働し、利益が生じたとしても、その分は電気料金の引き下げを要請されるだろう。しかも、原発再稼働が実現したとしても、東電に順番が回るのはいつになることやら。
以上、東電が急騰したのは、投機的な資金が入ったとしか考えられない。他に買う株がなくなったので、一番出遅れていた(正確に表現すると、放ったらかしにされたとしても仕方ない)東電という超ボロ株が弄ばれた。
結論である。東電株の急騰は、今の株価水準が過熱しているとの有力な証拠を与えてくれた。まっとうな株式市場を願うものにとって凶兆でしかない。
2015/06/06