ギリシャの国民投票、「EUの要求」に従うのかどうかの投票は、「従わない」が61.3%に達した。投票率は62.5%だった。この結果は、直前の接戦予想と異なり、反対派の大勝利である。
この結果をどう説明するのか。いろいろと可能なのだろうが、僕はギリシャという国の誇りが前面に出たのだと思っている。古代に賢人を何人も輩出している国である。以前にも書いたように、このギリシャの誇りからすると、ドイツをコアとするEUの要求に従うことは、都会の天才が田舎出身の凡人に屈するようなものである。理性では、EUの要求に従わなければ非常な困難が待ち受けていると思っていたのだろう。これが事前調査の接戦予想に反映されていた。しかし、いざ決断となると、理性よりも誇りに従ったことになる。
もっといえば、したたかな計算が働いたのかもしれない。
そもそも国家の会計を粉飾する(粉飾してもかまわないと考える)国がギリシャである。別に悪口で書いたのではなく、そんな粉飾を見破れないヤツがどうかしていると思っていたのだろう。借金もそうであり、返せないくらい貸すヤツがどうかしていると考える国である。損害保険の世界において、ギリシャと中国では船舶に関する故意の事故(火災保険でいえば放火)が多いという。これも、故意の事故を見破れずに保険金を払うヤツがアホなのだろう。良く言えば、古代から文化が栄えた国だけに、国民の鍛錬ができていて、人間性が単純ではない。
そうだから、EUの要求にノーといえば、そこから新たな展開というか、EUの妥協が引き出せると考えたとしても不思議ではない。文化はしたたかさの母である。日本では京都人の言葉を真に受けてはいけないというが、そんなのギリシャと比べれば可愛いものでしかない。
2015/07/06