中国上海市場の株価形成はバブルである。株価指標で確認すると、先週末(7/3)、上海総合指数が3686の時でさえ、PERは22.8倍(FACTSETによる)である。ちなみにアメリカは17.6倍である。
そもそも1年間で株価が2.5倍になるのが異常でないとすれば、何が異常なのかと思ってしまう。日本のバブルの場合、例えば1986年末の日経平均は18701円、89年末が38915円である。この89年末が史上最高値だった。計算すると、この日本人が大いに反省しているバブルでさえ、3年かけて株価がようやく(?)が倍になっただけである。
理解できないのは、中国政府がこの状態を放置していたことである。多少の株価抑制策を講じはしたが、徹底したものではなかった。中国は日本の経済を学んでいる。しかし、日本のバブルからは何も学ばなかったに等しい。株価が暴落して、徹底したPKO(株価維持政策)に乗り出したのである。このPKOを見ると、変なところだけ日本から学んでいるようだ。
中国政府の心理的背景は明らかである。バブルは心地良いのである。株価が上がることに対して誰も文句をつけない。誰も損をしないからである。むしろ喜び、囃したてる。しかし、天まで株価は上がらないから、バブルはいずれ崩壊する。
バブルが崩壊すれば社会的大混乱が生じる。混乱を収束させるには多大な力が必要となり、政府といえども破たんしかねない。日本の1990年代から2000年代初頭にかけての銀行システムの揺らぎが象徴的だろう。しかも、この当時の混乱は、「政府の負債がGDPの2倍」という現在の財政の歪みをもたらし、いずれ財政が破綻するのではとの将来に対する懸念に結びついている。
バブルは酒宴に譬えられる。飲んでいるときは楽しいが、翌日、反省する。日本のバブルの反省は翌日どころか、25年経っても続いているのである。
中国の反省はどうなるのか。中国経済がピークアウトしたとすれば、反省がいずれ政権にまで及びかねない。これが経済的、投資的に怖い。
2015/07/09