中国の経済や金融政策は日本を模倣し、かつ日本の轍を踏まないような政策が実行されていると思われている。このため、中国は日本の経済成長の良いとこ取りをしていると論じられる。本当だろうか。
実のところ、経済全体を見渡したとき、日本の方が優れていると評価できる。日本は経済の成長とともに市場の自由化、金融の自由化を推進してきた。1975年前後に日本の高度成長期が終わり、経済の状態を読み違えたことから(つまり潜在的な成長力が依然高いので、現実の経済の状態をそこまで引き上げようとの経済政策から)、その政策の資金的裏付けとして国債の大量発行がなされ、この結果、銀行が国債を満期まで保有できなくなり、金利の自由化への一歩が始まった。相前後して、外国為替レートと外国為替取引の自由化が進んだ。思い出すと、1970年代の前半は海外旅行に際して自由にドルを買えなかった。
この一連の金融自由化の流れに止めを刺したのが1984年の日米円ドル委員会報告書である。この報告書によって様々な分野での金融自由化のプロセスが示された。結局、1999年に一連の自由化がほぼ終わった。
もちろん、当時の日本政府がこれらの自由化をどこまで望んだのかは疑わしい。むしろアメリカの強い力に押されたのだろう。しかし、そのおかけで日本は名実ともに先進国となったといえる。
この点、中国の経済規模はアメリカと並ぶほどになったものの、外圧に対する抵抗力が圧倒的に強いこともあり、自由化は進んでいない。金利に対する規制が続いている。外国為替取引の自由化のスピードも遅々としている。さらに株式市場の対する中国政府の規制が「こんなに強いとは」というのが世界中の思いだろう。株式は有価証券であり、自由に売れるはずなのに、上場会社の申請によって「売却不可」となるなんて誰も思いもしなかった。このような中国の経済や金融に対して、今日も議論していたのだが、「世界の評価が大きく低下した」ことになる。
この金融自由化のプロセスと実体経済の関係については、明日にでももう一度考えたい。
2015/08/07