某所で普通の個人投資家が株式投資で儲ける(というか、失敗しない)ために何をすべきなのか講演することになった。そこで、考え方の整理を兼ねて、何に注意し、着目すればいいのかメモしておく。
最初にやるべきことは、自分自身の投資スタイルの確立である。値動きを見ながら活発に売買するのか、じっくりと保有するのかである。
活発に売買しようとすれば、株式投資にかなり時間をとられる。旅行などにも、おちおち行ってられないかもしれない。それに、市場全体の価格上昇率か低い時に(2013年の年初からの上昇率が続くと思ってはいけないから)短期に徹して売買すると、ゼロサムゲームになる。つまり、自分だけが勝ち続けることは、相場の天才でもないかぎり、もしくは独自の情報を持たないかぎり不可能である。短期的な売買で稼ぎたいと多くの投資家が考えているから、その多くの投資家よりも秀でていないと、常勝は不可能だということである。もちろん、証券会社の意見はあくまでも参考でしかない。
これに対して比較的人気がないのが中長期的に投資する方法である。これと思った株式を買い、数年単位で、もしくはそれよりも長く保有する方法である。この投資の難点は、現在の日本において中長期の投資に耐えうる企業があまりないことだろう。しかし、そういう企業が皆無でもない。このブログで何回も書いたように、感性ですばらしい企業を見つけることが手っ取り早いだろう。人気のない投資方法であるため、逆にチャンスが多い。
中長期的な投資において、まずは投資候補企業(ユニバース)を絞り込むことが有効かもしれない。このためにはまず、売上高営業利益率と(つまりROAであり、流行りのROEではない)、売上高の成長率を少なくとも5年間以上計算することである。会社四季報もしくは会社情報さえあればある程度の目安がつく。ROAは原則として高い方がいい。売上高成長率は安定的に高い方がいい。
このようにして自己流に決めたユニバースから、経営的に、また独自性において(言い換えれば真似することが難しい)優れた企業を選ぶことである。これが中長期投資の大原則である。(続く)
2015/08/19