今年の就職活動もピークとなった。今日から「採用選考」が解禁となった。とはいえ、そんな解禁を誰が信じているのか。もちろん、真面目な企業はあるのだろうが、多くの企業にとって今日は儀式だろう。
僕が就職活動した時を思い出すと、5/11に面接解禁、7/1が内定解禁だった。もっとも誰もそんなのをきちんと守っていなかったと記憶しているし、3月に内定の出たところもあった。それでも5月からの2ヵ月は長かった。面接やら、健康診断で呼び出された。5/1に最初に訪問した会社でも半月ほどでほぼ内定が決まったと思う。そのおかげで(ホンマかいな)、4回生の時は経済の勉強にならなかったが(本はたくさん読めた)。
今の学生に言っているのは、とくに金融関係に就職するのが多いせいもあるが、「少なくとも3年間はキャリアパスのつもりで、しっかり勉強すること」ということである。定年まで、すべて新入職員が勤め上げるなんてありえない。もっと職業も流動的になっていいはずだ。とすれば、大学を卒業してどこに勤めるのかという問題は難問でも何でもない。ある程度、職業的な方向感だけで十分ではないのか。むしろ、大学での最後の年をいかに有意義に過ごすのかが重要である。
この点、今の就職活動は企業の都合ばかりが前面に出ている。早い者は3回生の夏前から就職活動に入る。「大学時代の時間の40%が就職のため」なんてアホらしすぎる。20代前半という黄金期をたかが数年しかいそうにない(事前にそう思うだけで、結果は社長になる者がいることを否定しない)会社を選ぶために、もしくは選ばれるために費やすなんて、無駄以上ではないだろう。企業側も労力を使うのだろうが、そんなことは集団としての企業の金銭的な費用にとどまるから、誰も知ったことでない。
事例をあげると、学生が言うには、同じ会社から毎週のように電話がかかってくるとか。「ストーカーちゃうんか」と思う。新聞で報じられていたように、他者の内定を断れとの圧力もかかるとか。これらの事例は、新入職員採用担当者のサラリーマン的利益のためとしか思えない。担当している講義の期末試験(8/5に予定)について、「就活があるので・・」との相談も何件かあった。実際に会社が要求したのか、学生の狂言かは分からないが、そういう学生に対して僕は、「企業側の担当者の一筆を提示しろ」との対応で統一した。今のところ、会社側から連絡があった例はゼロである。
本来の就職活動は3月解禁、5/1から採用選考が可能でいいのではないのか。4月だけなら、大学の講義もガイダンス的だから、影響が少ない。繰り返しになるが、どんな企業に就職したところで、いずれにしても、サラリーマンとして大差ない。それよりは大学4年間で潜在的な能力を高めておくことが肝要だと思っている。
そうそう、今日という8/1が選考活動の開始なんて、この酷暑の中で動きまわるのはご苦労はんってところだ。毎年就職活動の日程に関して主導権を有している経団連自身、内部組織が官僚化し、サラリーマン的な「誰も、何も決められない」状態に陥っているから、「その結果、学生の潜在能力を殺してしまっている」ことに何の違和感も覚えないのかもしれない。
2015/08/01