日本生命は元の勤務先なので悪口は言いたくない。また、2年弱とはいえ役員だったので少しは責任もある。しかし、辞めて10年以上が経過した。現在の役員はトップの2人を除き、僕よりも若い。
現在の日本生命を見ていてわからないのは、何を目指そうとしているのかである。経営の目線が日本なのか、世界なのかが見えない。質なのか量なのかもわからない。単に保険料収入で同業他社に抜かれたからと、大慌てしているとしか思えないのである。慌てるだけのことなら、多額の給与を受け取る経営者は不要である。
せっかく社長が変わったのだから(僕が辞めてからすでに2回変わった)、個性を打ち出すべきだろう。打ち出すべき個性がないのなら、社長交代を行うべきでない。経営の安定の方が重要なのだから。
かつて、「日本生命の役員に面白いのが(つまり役人的でないのが)いないから、君にでも相談するわ」という雰囲気で、消去法的に案件を伝え聞いたことがある。この案件に関して、すでに会社を辞める決意をしていたので、十分に意を尽くせなかったと記憶している。とはいえ、この事例で思うのは、社内にどれだけ個性の広がりがあるのか、その重要性である。
たとえばモラルに関して、上から下まで(正しい方向であるのなら)厳格に統一されているのは大歓迎である。しかし、経営戦略に関しては、統一されている状態、すなわち杓子定規であるのは問題である。そうであるのなら、社長一人で十分である。逆に、経営的な広がりをどの程度認めるのか。これはトップが決める経営方針に依存する。
日本生命のトップがトップとしての機能を発揮していくことで、僕が今後受け取る企業年金も安泰なのだが、残念ながら、まだ「安泰や」と確信を持てる段階には至っていない。
2015/08/05