今朝の日経新聞15面、一目均衡(オムロンの開示「後退」)は示唆に富んでいた。とくに前半部分である。後半部分の株主優待に関しては別の機会に書くことにしたい。
要するにオムロンは四半期ごとの決算予想を公表しなくなった。その代わり、中期的な経営目標と、長期的なビジョンに関する定性、定量的な情報開示の充実に努めるようにしたいとのことである。新聞に書かれたことを裏書するように、オムロンのIR担当役員から説明のメールももらった。
僕として、素晴らしいことだと評価したい。
そもそも今のアナリストの多くが(新聞も性格上、同じだが)、株式投資に関する方向が定まっていない。短期的な値動きに賭けるのか(一種の当て物をするのか)、中長期的な企業の収益力を評価するのか(企業価値向上に期待するのか)、どちらを意識しているのかである。
推察するに、多くの投資家は、株式とは上がったり下がったりするものだから、底値で買い、天井で売りたいと思っているのだろう。しかし、そんな神業のできる投資家はどこにもいない。たとえば一般のアナリストにそんなことができれば、誰も安い給与で(数千万円もらったところでたかが知れているから)サラリーマンなんてやっていないだろう。相場を当てられないからアナリストであり、エコノミストなのである。
別に馬鹿にしているわけではなく、ちゃんとしたアナリストやエコノミストの技量は数千万円の給与に十二分に値すると思っている。
オムロンは、当てられない当て物に熱中するようなしょうもないアナリストよりも、中長期的な企業価値を評価してくるアナリストを大事にしたいし、できればそんなアナリストが増えてほしいと願っているのだろう。短期的な業績を予想したいのであれば、それは自由にやればいいとの思いでもある。そのための情報もオムロンから与えられているのだから、そこはプロのアナリストとしての技量次第である。
会社から四半期先の業績予想を聞き、その数字をベースに鉛筆を舐めるのはアナリストではない。現在は鉛筆ではなく、スマホの画面でも舐めているのだろうか。きちゃないね。
2015/08/11