東京から戻り、大学で仕事をしたあと、大文字山を越えた。出発した時間は日没が迫っていた。さすが、盆が過ぎただけある。ヘッドランプなんて研究室にないので、日没と競争、急ぎ足で歩いたが、汗の出は少ない。
火床付近には送り火の燃え残りを探す人がいた。お守りになるという。無病息災だったか。銀閣寺の近くの家には、関係者に頼んでわざと半焼きにしたのではないかと思えるほど立派なのを玄関の上に祀っている家もある。
その燃え残りを探すのなら、送り火の翌日でないといけないだろう。テレビで見たが、早朝から登る人がかなりいるとのことである。わが家も(というか僕もだが)一度拾って持って帰ったことがある。でも「何か気持ち悪い」というので、何日かして火床に返した。
日に日に大文字の山の様子は変わっていく。何がかというと、セミである。これまで多かったヒグラシの声が少なくなり、代わりにツクツクホウシが8割方占めるようになってきた。そう言えば、京都市内のクマゼミのやかましい声がピークを過ぎたようである。
今年の夏も何とか乗り切ったと思いながら、久しぶりに急ぎ足で山を下った。
2015/08/18