昨日、NYダウが大きく下げて1万7000ドルを割った。今日は日経平均が大きく下げ、2万円を割った。背景にアメリカの政策金利引き上げの問題があるのだが、より重要なのは中国経済である。
中国の元切り下げに対してコメントしたように、中国の潜在的な経済成長力は低下している。中国政府として、実体経済を実力ベース、すなわち潜在成長力水準に軟着陸させないといけない。これには時間を必要とするだろう。もしかして、失敗してしまう可能性もある。8/17、某通信社のコラムに、「中国経済の成長率低下は現実であるから、これが世界経済に重くのしかかってくる」と書いた。この状態がすでに始まっているのかもしれないし、中国の株価暴落が世界経済に対する警告だったように思える。
この点、日経平均が2万円を割ったことに対して、日本の甘利大臣が「中国政府は中国が原因となる世界同時不況とならないよう、万全の政策対応を今後ともとると思っている」(ロイター)と発言したことは、一面で正しいが、中期的には正しくない。中国の中長期的な景気動向に認識がないか、もしくは目をつむっているのだろう。
株価のクセとして、ボロ株が上がれば相場が終わる。景気上昇の恩恵がいきわたるのはボロ株が一番最後だからである。今回の日本株でこの状況が起きていたのかどうかを確認しておくと、実は起きていたようである。
1つは、8/17に書いた電鉄株の上昇である。(古くて申し訳ないながら、テレビドラマのミスター・エドではないが)そんなバカなと思える電鉄株が喋ったというか値上がりしたことを指摘できる。
もっと端的には。「日経平均/東証株価指数」を計算すると、昨年末から比率が高止まりしたままである。日経平均の構成上、ファナックやユニクロ(ファーストリテーリング)のような高収益株が高いウェイトを占めている。これに対して東証株価指数は玉石混交(関西風に言うと味噌も糞もいっしょくた)である。その東証株価指数がこの半年以上、日経平均と対等に頑張っていたということは、ボロ株が上昇していたことになる。
もっと言うと、世界的に見て日本にはボロ株が多い。その日本市場はリーマンショック後の回復から取り残されていたのだが、前年比で見ると、今年に入ってアメリカやドイツを猛烈に追い上げていた。世界的に見ても、ボロ株が上がっていたことになる。中国もまた、情報開示などの点でよろしくない株、ボロ株が多いから、その株が値上がりしたことは、相場の末期現象と考えることが可能だろう。
以上からして、リーマンショック後、2009年の初めから続いた世界的な株価上昇局面は、少なくとも末期にあり、むしろ一相場終わった可能性が高いと考えられる。
2015/08/21