川北英隆のブログ

新規上場の郵政3社は買えるか

11月にゆうちょ、かんぽ、郵政の3社が新規上場する。大型上場なので証券業界は全員一致で売り込みに走るだろう。では、この3社は、少なくともどこか1社は買いなのか。買うとして値段は妥当なのか。
結論の1つは、値段に関して、日経平均が2万円台を越していなくて良かったと思う。現在の水準、高値から1割程度下押した状態が最適かどうかは別として、1月前のように株価が沸騰している段階での上場はかつてのNTTの二の舞になりかねない。
もう1つの結論は、では市場が妥当な株価水準にあるとして、その時に3社が上場したのなら、買う気になるのかと問われると、僕としては「3社のどれもが否」である。この点はNTT、JR、JTとの差であろう。実は先日、日経の記者が来ておなじことを質問したので、このブログと同じように答えた。
では、どういう理由で買う気にならないのか。それは、3社に魅力がない、少なくとも他にも同じレベルの企業が何社も上場しているからだ。
ゆうちょ銀行であればメガバンクである。かんぽ生命であれば第一生命である。日本郵政であれば、かんぽ、ゆうちょ、日本郵便の複合企業であるから、メガ、第一、ヤマト運輸が合体したようなものであり、新規登場のヤマト運輸もまた、日本郵政より上である。
今後、日本郵政が既存の民間企業よりもより高い成長をする可能性があるのかと、ついでに質問されるとしても、答えはこれまで同様、「否」でしかない。僕自身、かんぽとの付き合いはほとんどなかったが、残りの2社、ゆうちょ、日本郵政のサービスは齟齬だらけである。社長は民間人になったものの、民間人的な意思決定力やガバナンスがそれぞれの企業の隅々にまで行きわたっていない。
以上は長期的な視点からの僕としての判断である。短期的に売買して儲かるのかという視点が抜け落ちている(あえて捨てた)と言っておこう。

2015/09/12


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