標準的な投資理論によると、分散投資が効率的だという。分散投資によって、より少ないリスクで(言い換えれば確度高く、)市場並みのリターンが得られる。この通りだとすれば、資金量の少ない個人は不利となる。
もちろん、この投資理論を否定するものではない。市場並みのリターンを享受し、それで満足なら、分散投資をお勧めしたいと思う。しかし、ここでよく考えないといけないのは、市場並みのリターンで満足するのかどうかである。
「市場並みのリターンで満足かどうか」には、2つの意味がある。
1つは、市場並みリターンの水準が十分に高いのかどうかである。極論すれば、市場並みリターンがマイナスであっても(株式投資に損失が生じたとしても)満足かどうかが問われる。「マイナスでもええやん」とは誰も言わないだろう。マイナスのリターンなら、株式投資なんかせず、タンス預金しておいた方が余程ましである。
もう1つは、市場並み以上のリターンが得られる可能性が高いのかどうかである。市場よりも高いリターンが簡単に得られるのなら、市場並みで満足する意味がない。現在、株式投資の意味として、この「市場並み以上のリターンが得られる可能性」に注目が集まっている。コマーシャルだが、『市場ではなく企業を買う株式投資』と『京都企業が世界を変える』は、市場並み以上のリターンが簡単に得られる可能性を指摘したものである。
この発想は、裏側から眺めると極めてシンプルである。中長期的に見て、ダメ企業のリターンは市場平均よりも低い。そうだとすれば、市場全体からダメ企業だけを除外し、投資すると、市場並み以上のリターンが得られるとの理屈になる。このブログでダメ企業を指摘するのは、この投資リターンの観点から、こんな企業は投資対象から除いた方がいいとの観点である(もちろん、癪にさわるからでもあるが)。
もう少し書いておくと、この発想に基づいて投資対象を絞り込み、高いリターンを得てきたファンドが実在する。というか、今回のブログは、そのファンドを運用するアセットマネジメント会社の最高責任者から学んだ投資スタイルでもある。
2015/09/02