「個人投資家が株で儲けるには6」との題が本来である。しかし、配当を神様、仏様とありがたがる記事が多いし、投資家もそう思っているから、あえて逆説的な題にしてみた。
もちろん、配当が支払われると「嬉しいな」と思わなくもない。しかし、それよりも「株価の値上がり」の方がもっと嬉しい。こう感じる(合理的な)理由はいくつかある。
1つは、これは誰にでも理解してもらえるはずだが、税金である。配当からは税金が天引きされる(源泉徴収される)。この率と金額がバカにならない(関西弁でもバカにならないであり、アホにならないとは言わない)。これに対して、株価の値上がりなら、税金を払わなくてすむ。正確には、値上がり益を実現すれば税金を払う必要が生じるものの、それまでは税金が繰り延べされる。配当は税務署を儲けさせるだけである。
もう1つは、日本企業の経営は大したことないから実感が乏しいものの、アメリカでは超優良企業に無配の企業が多いことから言える事実である。現在、グーグルは無配である。バークシャー・ハサウェイ(かのバフェットが経営する会社)も無配である。マイクロソフトもアップルも、かつての成長期には、大儲けしていたにもかかわらず無配だった。何故か。投資家の観点から説明すると、経営者がしっかりしていて、かつ成長の機会がふんだんにあるのなら、利益の一部を配当としてもらうよりも、それを会社の成長のために使ってもらい、株価を上げてもらった方が余程嬉しいからである。
日本企業の場合、経営が大したことないし、儲けた利益を金庫にしまい込むことしか考えない経営者があまりにも多かったため、投資家が「配当、配当」と叫び、配当こそ株主に対する唯一無二の利益還元だとイメージされているだけである。
真の経営とは何か、投資とは何か、もっと考えた方がいい。
2015/09/06