今回のポーランドの印象は非常に良かった。まず気づくのは車の運転マナーがいいことである。もう1つはポーランドの誇りが民主主義発祥の地だということである。この2つには共通点がありそうだ。
車のマナーの良さは横断歩道を渡ればすぐに判明する。必ずといっていいほど、車が止まってくれる。もちろん、街中を猛スピードで走る車などみかけなかった。ゆっくりと走っているから、横断歩道ですぐに止まれるわけだ。日本を含めたアジアのマナーの悪さとは雲泥の差ということになる。
民主主義のことは現地ガイドと昼飯を食べた時に聞いた。ソ連の影響下にあった共産主義政権の時代、ポーランド人としての認識は、ポーランドやチェコ・スロバキアは民主主義の国、ソ連は共産主義の国、西ドイツやフランスは資本主義の国だったそうである。そもそもポーランドが一時消滅する(1795年にロシア、プロシア、オーストリアによって3分割される)前、ポーランドは王国であったが、国王は選挙(ただし選挙権は貴族にあった)によって選ばれていた。
ポーランドが消滅した際、貴族の一部はフランスやアメリカに逃れた。現地ガイドによると、これらのポーランド貴族が、フランス(当時のフランスは革命の時代に当たる)やアメリカが民主主義制度を取り入れ、確立するのに大いに貢献したそうである。
ポーランドの民主主義は国土の地政学的位置に関係するのだろう。歴史ある国にもかかわらず、列強に挟まれ、栄光と衰退どころか消滅まで味わった。この歴史が生き残る知恵としての民主主義を生んだのかもしれない。同時に、数多の国に対する知識と洞察を生み出したのは間違いない。たとえば、ポーランドがノーベル文学賞作家を4人も輩出しているのは、文化度の高さだろう。ユダヤに対する寛容な態度も同様、交通マナーも、民主主義と根は同じように思える。
2015/09/08