川北英隆のブログ

長期投資の対象となる企業とは

多分ブログの読者だと思うが、長期投資の対象として優れた企業とは何か、株価が上がった後でその企業が優れていたとわかるだけではないか、特定の銘柄を数ヶ月以上持つことはリスクではないかと、質問を受けた。
ついでに、株式投資にはトレンドが重要ではないかとも(最初の質問の裏返しである)。
まず、長期投資とは数ヶ月単位の投資ではない。3年とか5年とかの投資である。だから、株価の数ヶ月、数日のトレンドとは関係が薄い。せいぜい数ヶ月という短期的なトレンドを投資家全員が追いかけて投資すれば、それは上り坂に差し掛かったジェットコースターに飛び乗るようなものである。しばらく上がるかもしれないが、株価が天まで上がらないかぎり、いずれ急落する。1980年代後半の日本の株式市場、2000年前後のアメリカでのITバブル、つい少し前の上海市場、これらの轍を踏むことになる。
長期投資に向いた企業を選ぶには、企業が行っている事業の本質を評価しなければならない。結局のところ、その企業の製品やサービスに対する需要が続くのか、競争率が高く、相対的に高い利益率が持続するのかどうかである。この分析には、長期的な数字を追い、またその企業を取り巻く環境を総合的に(つまり投資家としての総合的な知識を駆使して)評価するしかない。
もう1つ重要なのは経営者の力量である。経営者を評価するには直接会うのが一番だが、それは難しいだろうから、経営者の影響を受けた従業員の態度や、製品やサービスに秘められたちょっとしたアイデアやセンスから判断することがいいと思っている。このブログでは「アホやな」と書く企業が多いが、「ええなあ」という企業も見つかっている。あまり書かないだけである。良いか悪いか、評価基準は同じである。
これらの分析に関する事例は『京都企業が世界を変える』の奥野氏の章に書いてある。

2015/09/13


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