鬼怒川が氾濫する朝、特別警報が出ていた。強い雨雲は集中していたものの、雨は峠を越していたようなので、正直なところ、「本当に危険なの」と思っていた。それが昼頃に決壊した。鬼怒川は懐の広い(奥深い)川である。
「鬼怒川とは、まさに名前のとおり」と何人かが語っていたが、そもそも今の銚子を河口とする利根川は江戸時代以降の姿で、元々は荒川を合わせて東京湾に注いでいた。荒川が支流だったことになる。また、今の江戸川は渡良瀬川の下流部だったとか。そして、現在の銚子に注ぐ利根川は鬼怒川だった。
もう少し想像をたくましくすると、荒川、利根川、渡良瀬川、鬼怒川は今の東京湾の外縁部で広大な湿地を作っていたと考えいいのではないか。それが、やがて開梱され、水田となり、流路が定められていった。地図を見ると、さいたま市付近で標高が10メートルに満たない地域がざらにある。
今回氾濫した地域では鬼怒川と小貝川が接近している。かつて鬼怒川と小貝川は合流していたらしいのだが、その地点はどこなのか。案外、今回の氾濫した地域付近かもしれない。というのも、三日月湖(河川が蛇行した痕跡)や蛇行した水路が何箇所か確認できるからである。そもそも常総市役所付近の地名、水海道が怪しいし、付近には新田という地名がやたらとある。河川が気ままに流れていて、湿地が多かった証拠のような気がする。
もう1つ、今回の氾濫で驚いたのがグーグルの災害情報マップである。極めて解像度の高い衛星写真が公開されている。車もはっきりと写っている。こんな写真を民間会社が撮影しているというのは感嘆ものであるが、脅威でもある。
その衛星写真を眺めつつ、人は写っていないのかと少し探してみたものの、確認できなかった。さすがに頭を上から見たのでは小さすぎるのかもしれない。
2015/09/16