ポーランド南部の町、ザコパネは避暑地であり、スキーや登山などの山岳スポーツの拠点である。非常に人気があり、立派な別荘が立ち並んでいる。観光客も多い。この町からハイキングにでかけた。
ザコパネのすぐ南は山岳になっていて、その主稜線がスロバキアとの国境になっている。山岳全体はチェコからルーマニアにかけて連なっているカルパチア山脈の一部を形成しており、Tatryと呼ばれている。最高峰はスロバキア側にあり、2600m少しの山である。高さとして大したことはないが、実際に入ってみると岩峰群が続いていて迫力がある。登山ガイドに聞くと、また地図を入手して
眺めると、歩いて登れる山がほとんどない。冬にかなり雪が積もり、寒さも厳しい。このことからヒマラヤ登山のための練習場となっていて、これまで多くの有名登山家を育てたとのことである。
そんなTatryではあるが、比較的穏やかな稜線の続く部分があり、そこを散策した。ザコパネから歩いて登れるが、このハイキングは足慣らしのためだったので、まずはロープウェイを使って2000m近くにまで運んでもらった。着いた場所はすでに国境である。
残念ながら歩いた日は風が強く、上空の雲が時々尾根に降りてきたため、展望が今一つだった。とはいえ、稜線はずっとポーランドとスロバキアの国境であり、目印のポールだけが思い出したように設置されている。フランスとスイスの国境を歩いた時もそうだったが、「国境ってこんな簡単なものだったのか」と感慨深い。ヨーロッパが1つになりつつある証拠だろう。
かつて、ドイツ(ドレスデン)からチェコに入った時、厳格な、それでいて袖の下を要求するようなパスポートコントロールがあり、越えられる国境が限定されていたのと大差である。
国々が1つになるのは便利なようであり、一方で変な人間が自由に出入りできる。テロが横行している時代に国境がないに等しいというのは大変なことでもある。細かなこと(島の領有権)は別にして、日本が海に囲まれていて良かったと、閉ざされていることに妙な安心感を覚えた。
写真が国境の標識である。標識のSはスロバキアのこと。写っていないが反対側にPと刻まれている。奥にTatryの西側が見える。
2015/09/09