昨日の日経だったか、名目GDP600兆円の目標を政府が打ち出したことに関する記事が掲載されていた。記事枯れで書くことがないのかというような内容だった。ざっと見た記憶を頼りにコメントしておく。
名目GDPが500兆円を挟んで長期間、頭を抑えられているのは確かである。内閣府の統計で確認すると、1994年以降、つまり20年間この状態である。最高額は(季節性を調整した後の数値で)1997年10-12月期の525兆円となっている。ちなみに今年4-6月期が500兆円である。
それで日経には、GDPの計算方法が変わる(研究開発費がGDPに参入される)から600兆円の目標は少し近くなると書いてあった。確か20兆円だかが嵩上げされるらしい。お笑いである。計算方法が変わり、数字が大きくなるだけで、国民が豊かになるのだろうか。蒲焼きの匂いを嗅いで食べた気分になる落語の世界である。
そんな数字のごまかし無しに、500兆円が600兆円になるには20%の成長が必要である。実質成長が1%、物価上昇が1%、合計で名目成長率が2%だとして、順調にいったとすれば(すなわち景気の落ち込みなしに)、10年位で達成できるとの計算になる。これまで20年間停滞していたことからすると、10年で600兆円なら御の字だろう。
それと、パリバの河野氏が、600兆円は移民を受け入れないかぎり無理とか難問とかコメントしていた。早期に、例えば5年後のオリンピックまでに600兆円を目指すのならそうである。ついでに、この移民に関して思うのは、そんなことまでしてGDPを膨らませることが日本人にとって幸せなのかどうかである。海外と付き合うのが下手くそな今の国民が、移民を受け入れられるのだろうか。移民制度の是非の問題ではなく、現実問題として(日本社会の混乱と、結果として海外からの非難を招く可能性が大きいと予想できるので)、僕は移民に反対である。
2015/10/20