川北英隆のブログ

今後の技術進歩は格差拡大要因

先日、食事しながら雑談していると、「今後の技術進歩が企業間格差や所得格差を縮小させるのか」との話題になった。僕なりの結論を示すと、逆に格差拡大をもたらすだろうというものだ。
多分、個人の所得格差の方が簡単に説明できると思う。
現時点を眺めて感じるのは、いろんな作業が機械化、省力化、自動化していることである。寿司ロボットが登場している。いずれ自動車の運転も自動化される。という具合である。
そうなれば、人間の力が必要なのは、自動化されない小規模で個別性の高い、要するに手間暇だけかかるものか、高度な能力の要求されるものになる。前者の多くは効率の悪い作業であり、それだけに給与も安い。後者の仕事には当然高い給与が払われるものの、その仕事に就くのは狭き門だろう。
この結果、所得格差は拡大するに違いない。一部の高額所得者と、多くの低所得者である。
企業はどうだろうか。自動化が達成される背後には技術の集約がある。集約された技術は全世界に適用可能である。インターネットとそれを利用したサービスが典型的だろう。この結果、少数の企業が特定の分野を牛耳り、グローバル化し、大儲けする可能性が高い。他の企業は、その特定のグローバル企業の実質的な下請けになるか、淘汰され、縮小し、最悪は消えていくかである。
現在の状況は、グローバル企業の世界制覇の走り(パシリではない)が観察できる。アップル、グーグル、アマゾンが代表的だろう。トヨタもその一角を占めているのかもしれない。これらの企業の下に、たくさんの部品メーカー、下請けメーカーがいる。もちろん、これらの企業が10年後も生き延びているかどうか、誰にもわからない。しかし、10年後、これらの企業が消えていたとしても、新たな覇権企業が出現していることだけは確かだと思える。

2015/10/12


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