川北英隆のブログ

漂うシャープの行方やいかに

シャープが本当に危なくなってきた。液晶の技術はあるのだろうが、その液晶の技術を追い求めても、「これ以上綺麗になったとして、どれだけのプラスアルファがあるのか」、意味がなくなってきている。
経済でいう、限界効用の逓減である。限界効用に関して、授業では、「僕にとっての1000万円の収入増加はえらく値打ちがあるのに対して、アラブの王様にとってはどうでもええ金額」とたとえている。
液晶の綺麗さはアラブの王様の富レベルに達している。これ以上の綺麗さは、無意味とは言わないまでも、今のところほとんど意味がない。今の液晶のレベルに対して、誰も、何の不満もないに等しいだろう。
シャープは虚を追い続けてきたのだろう。液晶技術という逃げ水を本当の水だと信じ、追いかけているとしか思えない。前にも書いたように、過去の栄光、吉永小百合に未練を残しつつ、片方で未来の虚を追い続けるという経営の失敗である。
その失敗の1つが鴻海との提携であろう。鴻海の傘下に入って何の問題があったのか。シャープは単に面子の問題から、鴻海との提携に消極的だったのではないか。その結果、生き残る道を失いつつある。外からはそのように見える。
今、シャープの時価総額は2300億円を割った。かつての面影もなくやせ細った。一方で総資産は1.8兆円ある。潰れるとそれなりの影響がある。
シャープの生きる道はあるのか。高技術部門を別会社化するのが一案だろうが、では残された部門に魅力があるのか。東芝以上に事態は深刻である。

2015/10/30


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