さんざん文句を言ってきた大学生の就職活動について、経団連は「来年度の面接について6月解禁」を正式表明したらしい。バカげている。教育というものを真剣に考えていないに等しい。
今年度で大学からほとんど足を洗うつもりの僕にとって、来年度の学生の就職活動は関係ないものの、この国の将来を憂いてしまう。今年度の経験からすると、再来年度に卒業する学生にとって、4年生の前期の貴重な時間と授業はほぼ放棄に近いだろう。何のための大学生活なのかと、学生と一緒に嘆きたくなる。
経団連の目的とは、企業としての目先の利益を追い求めるだけなのだろう。長期的な視点に立っていないし、世界の動きを何も見ていない。経団連のトップの資質とは、その程度のものなのか。出自企業の経営において、自分自身で世界を見聞し、考え、行動することに乏しかったと想像せざるをえない。だからこそ、多くの日本の大企業が世界に劣後してしまったのだと、妙な整合性を感じるのも事実である。
もう一点、賃上げやら放送やら、いろんなことに口出しをして先進国にあるまじき行動をしている日本政府が、この就職活動に対してほとんど無口なのも奇妙である。就職活動に対して口出ししても、当面の経済成長率と物価に効果をもたらさないのは確かである。しかし、将来の日本の経済に多大な影響を与える。
政府として、大学教育のあり方と(僕としては、入学は簡単で、卒業が難しい教育へと転換すべきだと思っている)、その大学教育の出口としての就職活動のあり方を一連のものとして考え、提示すべきだろう。この転換に少々資金が必要となっても、政府は予算を付けるべきである。これが長期的な観点からの成長戦略というもの、そう主張したい。
2015/11/09