時間帯によるのだろうが、土曜日の夕食時に目立つのが香りを売り物とした洗剤や化粧品のコマーシャルである。それを見る度に思い出すのは、友人の香りアレルギーである。
その友人に言わせると、年齢とともに嗅覚が衰えているものの、香りに対する反応だけが過敏になっているとか。10メートル先でも、臭い香水(矛盾したような表現だが、女性だけが知らないだけで、男性にとって臭い香水が実際にはわんさかある)はもちろん、普通の香水にも反応してしまい、気分が悪くなるという。ましてや、洗剤に使われている安物の匂い成分は悪趣味でしかないらしい。
思うに、体臭がどうしたというのだろうか。風呂に入っていれば(シャワーでもかまわない)、とくに気になるものなのか。無味無臭なんて、そんな宇宙人みたいな人間がいるわけがない。いたとしても、異性にもてないだろう。
ペットを飼えば、部屋に動物臭が漂う。食べ物を食べれば匂いがある。そんなのを気にしていたら生きていけない。気になるのなら、死ぬのが一番手っ取り早い手段だろう。
高級な香水や自然の花の香りは複雑に構成されている。だから素晴らしい。これに対して、安物の香料は科学的に合成されているから、ストレートである。すぐに鼻につく。キンモクセイの香りのトイレ芳香剤が最たる例だろう。
香りアレルギーでない僕も、新幹線で隣に安物の香水プンプンのオバちゃんや姉ちゃんに座られると、京都から米原付近で辟易としてしまう。
要するに香りが、匂いがと叫ぶのはメーカーの戦略でしかない。そんなコマーシャルを堂々と流している会社の株なんて、買いたくもないと思う。
2015/11/15