時々、思い出したように登場するのが、「日本も移民を積極的に受け入れたらどや」という政策提言である。思うに、この手の提言はまるで観光客を増加させる乗りのように見受けられ、浅はかである。
昨日のブログで書いた「昼食の恨み」ではないが、日本の政策はパッチワークであり、首尾一貫性がないというか、最終的な目標から割り出した筋道がない。だから、観光客が増えたはいいものの、ホテルが足りない、道は人で溢れている、観光地のレジは渋滞するというような、様々な弊害が出てきてしまう。
移民を受け入れるのであれば、そのためのインフラと制度の整備が必要になる。今回のフランスのテロで明らかである。
そもそも教育をどうするのか、外国人に対する日本人の意識改革は可能なのか、宗教は、食事は(イスラムを受け入れるのであれば非常に深刻である)、そして移民の中に反社会的な勢力が(日本人的感覚の反社とレベルが異なる勢力が)混入することをいかに防止するのか。少し考えただけでも、以上のような非常に難しい問題があることは明らかである。
労働力を増やして経済発展をなんて、単純に考えたのでは大いなる過ちを犯してしまいかねない。この点に薄々気づいているのだろうか、今日の独善的な政府もあまり移民政策を声高に叫ばない。多分、「国民が嫌うだろうな」程度の認識だろうとは思うが。万が一、移民政策を打ち出すのであれば、もっと真剣に、移民を受け入れるためのインフラと社会制度の整備を考えるべきだと、繰り返して主張しておきたい。
2015/11/20