日経新聞の月曜日だったか、一面トップは「株式持ち合いの解消の動き」だった。読んでみると、どんどん株式持ち合い(株式の政策保有)が解消されている雰囲気だが、これは大いなる間違いである。
金融庁のスチュワードシップ・コードとコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議での事実関係に関する発言は、「本当のところ解消が進められないので困っている」というものだったと思う。解消に対して、依然として抵抗が大きい。株式政策保有の解消が進んでいるのは先進的な企業だけであり、事実は経団連のコア企業を中心に、解消に対する大きな反発がある。
このため、メガバンクは苦慮しているようだ。もちろん、解消を進めると公表し、その計画値を示しているものの、3年とか5年とかをかけるという悠長な計画である。その間、株価が大きく下落したらどうするのか。2000年前後の日本の状態の再現、すなわち金融システムの安定性が大きく揺らぎかねない。
僕の意見は(会議で発言したのだが)、金融庁がメガバンク等の大手金融機関による政策保有をよりいっそう限定し、強制的に政策保有の解消を促すべきというものである。「お上が株式を売れと言っているので」と企業に伝えれば、企業も抵抗できない。そうでもしないことには、上場企業の甘え構造の解消はない。いつまでも金融システムが不安を抱えたままになる。
一方、僕として、金融機関による株式保有を全面的に禁止すべきとは思っていない。ベンチャーの育成においては金融機関が株式を保有し、資金供給することが重要である。ベンチャー投資が日本でも一般化すれば全面的禁止もありうるだろうが、当面は無理だろうし。
2015/12/02