川北英隆のブログ

株価はピークアウトした可能性

非常に残念なことだが、1/6のブログ「今年の株価を群集心理から読む」での株価予想が当たり始めている。日経平均15000円から20000円と予想した下値に、今月中にも突っ込みそうな勢いがある。
むしろ、15000円で止まるのかどうかを心配したほうがいいだろう。そこまで下がったとしても30%弱の下落でしかない。
先週末の日経平均は昨年6月の高値から18%下値にある。海外を見ると、昨年の高値に比べ、NYダウは13%、ドイツ(DAX)は23%、中国(上海総合)は44%、香港は32%、インド(ムンバイ)は19%下げている。1年程度の期間で見ると、各国の景気の実態を株価は忠実に表現しているようだ。
では、この下げは一時的なものなのだろうか。NYダウを見るかぎり、昨年8月に現在と同水準に下げた後、年末にかけて回復を示していた。しかし、上海の株価は昨年6月以降、下げ続けているに等しい。この点で、現在の世界的な株価の下落を、一部の新聞の当初の論調のように楽観視するのは誤っている。
中国の経済規模はアメリカの半分を超えてきている。輸出入額の合計ではアメリカを上回ってしまった。その中国経済が高度成長からノーマルな成長に転換しつつある影響は大きい。
1975年当時、日本経済は高度成長からノーマルな成長に転換した。成長率の屈折である。当事を振り返ると、政府でさえ、その成長率の屈折を即時に認識できなかった。このため、過剰設備問題が生じた。現在の中国は、より規模の大きな過剰設備問題に直面しているようだ。世界もまた、中国経済の状況を見誤り、中国の需要を見越して積極的な設備投資を行った。資源がその典型だろう。
このように考えると、現在の世界経済について、中国経済の成長率の屈折を調整する段階に入ったと考えるのが適切である。アメリカ経済が比較的堅調であるのは事実だが、もう1つの大国、中国の屈折をアメリカが相殺し、余りを出すのかと問われれば、それほど強い状態ではない。
結論である。新年に入って以降の世界的な株価の下落を、中国政府の下手くそな市場対応のせいだけにすべきではない。もっと本質的な問題が下落を引き起こしている。世界の株価は、2009年以降の上昇プロセスに終止符を打った可能性が大きい。

2016/01/16


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