交通状況はこの程度にして、次は食糧事情である。といっても、旅行者が食べ物をどう調達するのかという切実な問題から始まる。これは、その地方の老人が潜在的にかかえる問題でもある。
ホテルをネットで予約しようとしたら、奇妙なことに気づいた。予約しようとしたのは高級ホテルではなく、普通の温泉旅館である。源泉掛け流しに惚れたわけだが、えらく安い。よくよく見ると、夕食なし、朝食付きとある。ちょっとどんな場所か調べたが、まともに食事ができるかどうか怪しい。そこで、源泉掛け流しを泣く泣く諦めた。多分、旅館の持ち主が高齢者で、食事の準備ができないのだろう。
実際、その町に降り立つと(実は温泉が諦めきれないので、その町からタクシーを使うホテルを予約していた)、食事する場所どころか、小売店もほとんどなかった。コンビニ的な店が1軒あったので、その晩の(食事付きだが)寝酒の1本でもと思い、中に入ったが、アルコール類は売ってなかった。
そもそも、今回の旅行中、アルコール類を売っている店を見かけることはほとんどなかった。正確に書くと、鹿児島だから焼酎の看板は多いのだが、朝とか夕方早くには店が閉まっていた。店が開いていたとしても、焼酎の瓶を抱えて旅行するわけにはいかない。すぐに飲め、缶を捨てて終りのビールがほしい。
旅行中、昼飯にも困った。食事をする場所を見つけるのは至難だった。コンビニやスーパーやよろず屋が(コンビニもよろず屋だが)、ちょっと歩けばすぐにあるわけではない。だから旅行中、まともに昼飯を食べられなかった。
薩摩地方の住人はどうしているのか。車で買い物に行くしかないだろう。しかし、年老いて車もまともに運転できなくなったらどうするのか。バス乗り場をよく見ると、乗り合いタクシーの張り紙や、市もしくは町営の循環バスなどの案内がある。やはり高齢者の生活が大問題化しているのだろう。そうであれば、次に問題になるのは市や町の財政である。大した産業がないから(シャッターを閉めた店も多い)、税収が少ない。それなのに支出がかさむ。深刻だろうと想像できる。
都会に住んでいる者にとって、とくに政治家にとって、この日本の現状を知ることが重要である。公共交通機関を使って旅行しないといけない。って、負け惜しみに近いかな。
なお、九州の路線バスの検索には次のサイトを使った。クセのあるサイトながら、これ以外は使えるものが見つからなかった。
http://qbus.jp/cgi-bin/time/menu.exe?pwd=h/menu.pwd&mod=F&menu=F
2016/02/12