という変なタイトルのブログだが、要するに公的年金が個別株投資をやりたがっている。というか、誰かがやらせたがっている。そこで、そんなことを上手にできるのかという主旨のブログである。
そもそも、公的年金が個別株に投資をすると、議決権行使を介して、民間企業の経営に影響を及ぼすことになる。そんなことを許してはいけないので、公的年金は個別株投資をやってはいけない。以上のような論調がある。
とはいうものの、日本政府は特定企業に(郵政、国際石油開発帝石、そしてシャープなどに)議決権行使どころか、もっと直接的にさまざまな介入を行っているわけだから、「公的年金が・・」というのは変な議論である。保有割合さえ限定すれば、公的年金が個別株投資をしてもいいと考えている。
問題は、公的年金の投資能力である。
この点で振り返るべきは、ポートフォリオとして保有できる株式枠を引き上げてもらった瞬間、その枠の消化を急いだのかどうかはともかく、事実として、上げ相場の中で積極的に株式を買い上がった公的年金の姿勢である。この結果、今の下げ相場での買い余地を著しく減じてしまっている。下がった時こそ、長期投資家である年金にとって、これぞと思う企業の株式を(現在は個別株を買えないから、株式全体を)思う存分に買うチャンスである。それなのに、「すでに枠を使ってしまっているなんて、これまで何を考えていたのか」ということになる。
今年度末、公的年金は大きな評価損を計上するだろう。その決算の公表時に、「長期的に評価して、十分な投資収益率を計上してきた(だから、今年度の評価損は大したことはない)」と説明するに決まっている。この説明はもっともであり、毎年のパフォーマンスに一喜一憂するのが、そもそもおかしい。
とすれば、である。株式への投資枠が増えた瞬間、どうして株式を積極的に買ってしまったのかである。株価下落のチャンスが来るまで、いつでも株式を買える状態にしておくのが公的年金の役割ではないのか。年金という投資家の投資スタイルとは何かを理解していない。そう批判されても仕方ないだろう。
それとも、今が買い場とでも思ったのか。もしくは日銀に追随して株高を演出したかったのか。いずれにしても、年金という投資家の行動として褒められたものではない。と言ってみたものの、誰でも言える当たり前の評価でしかないかな。
いずれにせよ、これでは、個別株を買えるようになったとしても同じ轍を踏むだけである。
追記:と書いたところ、「企業への影響力」の観点から個別株の運用を認めないと審議会は決定したようだ。
2016/02/08