川北英隆のブログ

脱ゾンビのシャープに祝意を

シャープが台湾企業、鴻海の傘下に入ることを意思決定した。その後のニュースを見ていると、まだまだ難しい交渉が控えている。とはいえ、日本の役所主導の再建計画に入らなかって良かった。
今の役所の傘下に入れば、ゾンビになるに決まっている。役所の論理で物事が決まるから。むしろ、外資の合理的な経営に日本企業はもまれるといい。その経験を積み、次世代の経営者候補が日本という社会に多く登場することに期待したい。
実のところ、シャープが日本企業でなくなるのは残念である。吉永小百合が多分外されるのは大歓迎なのだが(昔は、多少の小百合ストだったと思うが)、奈良県の天理工場がいずれ消えるのは寂しい。
前にも書いたと思うが、奈良県に進出した家電メーカーとしてシャープは一番早かったと思う。実家のすぐ近くに工場(郡山工場、1959年操業とある)ができ、その後、実家の、さらに実家のすぐ近く、小高い丘の上に天理工場ができた(1970年操業)。研究施設も一緒だったと聞いている。その奈良盆地のシンボル的なシャープが消えるのは、時代の流れである。
技術が流出するとの懸念があるものの、現時点でシャープの液晶にどれ程の独自の価値があるのだろうか。非常に高い価値があるのなら、ここまで経営が追い込まれたわけがない。もちろん技術的に最前線にはあったのだろうが、後続との差異は紙一重だったに違いない。95点と94点の差のようなもので、神業の領域での差ではあるものの、客観的には「それがどうした」「どっちもほとんど一緒やん」と思えてならない。
ということで、今後のシャープの活躍に期待し、いずれ天理工場が再び活況を呈してほしいものだとエールを送りたい。

2016/02/26


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