川北英隆のブログ

昨年10-12月期の企業業績は

3/1に昨年10-12月期の法人企業統計(対象は国内企業)が公表された。そこで、大企業(資本金10億円以上)の企業業績を分析してみた。全体としてみれば、売上高の減少、増益率の低下、人件費の微増だった。ただし、製造業と非製造業は好対照である。
前年同期比(%)の数字を示しておく。
     売上高  営業利益  人件費  減価償却費  付加価値合計
全産業    -5.8    2.2     0.9     0.8         1.4
製造業    -7.8   -14.7    -1.2     -2.1       -5.5
非製造業  -4.3    17.8    3.0     1.6        7.2
 (付加価値合計は営業利益、人件費、減価償却費を足し合わせたもの)

製造業は、売上高でみるかぎり、2015年に入って前年比でマイナスが続いている。営業利益は前年同期比で7-9月期まで増益だったが、10-12月期に大幅な減益となった。輸出の伸び悩みが影響したと考えていいだろう。政府がやっきになって口先介入している人件費(人件費総額)であるが、これも売上高と同様、2015年に入ってマイナスが続いている。売上高の不振の影響と、もう1つ、高齢者の退職により、平均賃金が抑制されている可能性が高い。また、減価償却費がマイナスであるのは、新規設備投資はもちろん、既存設備の更新が滞っていることを示していそうである。というのも、減価償却費はリーマンショック以降、ほとんどの期で前年同期比マイナスであるから。
非製造業の売上高も製造業と大差ない。2015年4-6月期はプラスだったが、それ以外、一昨年10-12月期以降はマイナス基調である。営業利益は大幅な増益であるが、通信会社と原油価格の下落の恩恵を大きく受けている電力会社を除けばどうなのだろうか(そこまで計算していない)。もっとも、人件費は2015年に入って3%前後増加している。海外からの旅行者が増えている好影響かもしれない。ただし、常勤の雇用者が増えたというよりも、バイトを増やしているものと考えていいだろう。
以上の状況からすれば、今年1-3月期は厳しさが増すと考えていい。とくに製造業の不振は深刻だろう。多くの製造業の場合、海外現地法人が業績を支えているのだが、その海外が不透明感を増している。今年に入って株価が不振なのも、むべなるかなである。
追記:電力と通信を除いた数値を計算してみたところ、増益率の水準は落ちたものの、非製造業の営業利益や人件費の好調さが依然として残っていた。旅行者をはじめとして、日本国内の経済活動への好影響が確認できたといえる。

2016/03/05


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