前から書こうと思っていたことがある。それは、住宅ローン返済の満了時点を85歳にできるとの話である。「いくら何でも」と思うのだが、複数そういう契約者がいるらしい。死んだ後の返済は団体信用保険である。
そこでネットで調べてみた。85歳までの返済にしたいらしい質問があった。答えは80歳までとある。ということは、事実関係を総合するのなら、一定以上の企業に勤めているか、給与が十分ある場合に85歳までの住宅ローンを認めているのだろうか。85歳までという話にウソがあるとは到底思えないから。
85歳はともかくとして、80歳でもすごいと思う。普通(というか、やっとこのこと)、定年退職は65歳である。男子の平均寿命は80歳である。つまり男性としてみれば、会社を退職してから15年間、死ぬまで住宅ローンを払い続けることになる。ということは、団体信用保険を提供した保険会社は、住宅ローンを借りた者の死亡を十分意識して保険料を徴収することになる。銀行とすれば、ローン返済の途中での死亡を十分に想定して資金を提供することになる。
思うに、そこまでして住宅ローンを貸す必要があるのだろうか。借りる方にしても、そんな老後の生活を切り詰めるリスクを覚悟してまでローンを借り、住宅を手当することが合理的なのだろうか。
家なんて、借りればいい。そのうち両親が死ねば、不動産が転がり込む。出生率が1倍台の前半だということは、結婚さえしているのなら(別にしてなくてもいいが)、両親の家を引き継ぐ可能性がきわめて高い。つまり、どこに住んでもいいのなら、「家、家」と焦らなくていいわけだ。
別の考え方をすれば、たかが家一軒のために一生働くなんて、実にバカげている。地方に住むつもりなら、家なんて安く買える。「教育環境が問題」なのだろうが、「その教育とやらを受けた一生が、家一軒で終わるなんて」と考えればどうなのか。
いずれにしても、少し冷静になりたいものだ。それとも住宅ローンの借手に、「死んだら、家が完全に家内のものになる、何てすばらしいこっちゃ」という冷徹な打算と、妻思いがあったりして。ウソっぽいかな。
2016/03/07