今月7日に公表された国連女性差別撤廃委員会の勧告に日本政府が怒っているそうだ。この勧告のうち、慰安婦問題、夫婦同姓、皇室典範(男系継承)が国内で論点となっている主な事項のようだ。
慰安婦問題は韓国と日本の間で一応の決着を見ている。決着の仕方がどうであったのかはともかく、その決着に対してここで注文を付け、国際政治に再度波紋を呼ぼうとするかのスタンスには違和感を覚えてしまう。政治的な意図があるとする某右翼的な新聞の論調にも一理あるように感じている。
これに対し、夫婦同姓しか認めない現在の民法を女性差別だと指摘したのは当然だろう。夫婦同姓しか認められないため、女性の社会進出が遅れるのは人間の心理である。女性の社会進出を促進し、男でも女でも仕事ができれば同等に扱おうとしているのに、一番重要な呼び名を同等に扱わないのは、画竜点睛を欠くと言われても仕方ないだろう。
個人的に言っておきたいのは、社会進出した女性が優れているとか、家庭に入った女性が劣っているとか、そんな評価を個人的に下していないことである。かつての日本の女性は逞しかったと思う。家庭に入っても父ちゃんを家でびしばし鍛えたのである。子供も育てた。社会進出して表に立つことだけが女性の生き方ではないと思う。かといって、夫婦同姓が正しいのかと問われれば、「そんなん女性差別の最たるもの」との評価しかない。
皇室典範で男しか天皇になれないというのは、どうでもいいことながら、天皇が日本国の象徴であるのなら、女性が天皇になれないのは日本国として男が偉いと決めつけている象徴でもある。つまり、男尊女卑をシンボルとして日本が掲げていることと等しい。
このシンボルを外さないかぎり、要するに現在の内閣が積極化している女性活用とは、良く言って良いとこ取りであり、もっと客観的に言うと、女性を働く生き物、はっきり言うと馬や牛としか見ていないことに等しい。憲法改正でもしようかというのなら、皇室典範を変えるなんて朝飯前のはずである。女性はもっと怒るべきである。
ついでに書くと、「一億総活躍社会」の評判も悪い。僕も書いたように(どう表現したのかは忘れたが)、日本国民をロボットとしか見ていないのである。働きたくないものは、働きたくない。このことからも、今の政府(というか、安倍内閣)ほど表向きはともかく、裏で国民をバカにしきった組織はないと思っている。この点は選挙制度改革でも書いたので、繰り返さない。
2016/03/10