不動産関係の雑誌から定例の依頼原稿があった。何を書こうかと思ったところ、日本のREIT(不動産投資信託)が異常に値上がりしていることに気づいた。
本当は前から大雑把にはわかっていたのだが、実際に価格データを見たところ驚いた。というのも、通常は株価(株価データとして取ったのは東証株価指数)と東証REIT指数とはかなり連動している。例外的に唯一、大きく離れたのが2007年、リーマンショックの以前というか、不動産投資への融資に対して日本の金融規制が強化される前だった。とはいえ、その当時、株価は頭打ちだったのに対して、REIT指数が大きく上昇し、両者の価格の差異が拡大したのが事実である。
これに対して今回は(とくに今年の初め以降は)、株価が下落するのに対してREIT指数が上昇していた。2007年に比べて異常度が大きい。不動産投資が活発だし、企業業績は冴えないし、金利はゼロ、下手すれば手数料などでマイナスになりかねないため、オリンピックを契機に活況を呈している不動産にでも投資しようかというものである。
この結末はどうなのか。長期的な不動産価格は経済の動き次第である。経済が良くないのに不動産が活況なのは、何か要因がある。東京オリンピックかもしれない(開催に暗雲が垂れ込めてきたが)。住居や商業施設の都心回帰かもしれない(いつまで続くのだろうか)。それとも、バブルの兆しかもしれない。
いずれにしろ、要注意である。依頼してきた雑誌にも、以上のように書いた。
2016/05/20