今日、三菱銀行が(正式名を思い出すのも面倒なくらい長い名前の銀行が)、新規発行国債の入札資格から撤退するとの観測記事が出た。僕としてはメガバンクが国債市場から撤退するとの記事を書いた直後だったため、びっくりはした。とはいえ、当然である。
現在、10年国債の発行金利水準はマイナスである。右から左に売らないかぎり、そんな国債を持つ意味がない。三菱銀行が「一抜けた」というのも、投資家のために国債を入札しているのなら当然の行動である。さすが、「すばらしい銀行」と思う。
このブログでどこまで書いたのかはともかく、国債の保有構造は危機的である。日銀が最大の保有者になり、短期売買によって鞘抜きをする海外投資家が影響力を向上させてきた。一方で、銀行、生保、年金は影響力を低下させている。誰もが「国債なんて、何のこっちゃ」と思っている証拠だろう。
この動きは債券の流通市場で顕著である。海外投資家だけが売買額を増加させていて、国内投資家も業者も軒並み売買額を減少させている。この海外投資家の売買は短期的な鞘抜きを狙ったものにしかすぎない。要するに、まともな投資家が国債から撤退している。
債券市場関係者(アナリストやストラテジスト)に言わせると、「僕らは失業かも」となる。現在というか10年ほど前から、「短期の金利市場は死んだ」と言われてきた。もしも債券市場が死ねば、この短期金融市場をはるかに超えた死亡事故である。日銀の金融政策というべきか、安倍ちゃんの誘導と言うべきか、いずれにしても日本の金融市場が危機的な状態に陥ってしまった。
2016/06/08